ステーブルコインの可能性 – そもそもなぜステーブルコインが重要なのか

ステーブルコイン

ステーブルコインの可能性 – そもそもなぜステーブルコインが重要なのか

2019 年 3 月 - 4 min read

現在、仮想通貨の広い普及には以下の4点が必要だとされています。

  • 価格安定性
  • スケーラビリティ
  • プライバシー
  • 非中央集権性

この内、価格安定性に対する解決方法としてステーブルコインという領域があり、2018年には大きく注目されました。本記事ではこの「ステーブルコイン」に関して、そもそもなぜステーブルコインが重要で、ステーブルコインによってどのような未来がもたらされるのかという点を解説します。

ステーブルコインとは

ステーブルコインとは、価格変動が小さく、安定した価値を保つことができるように設計された仮想通貨です。価格を安定させるために用いられる方法により法定通貨担保型 (fiat-collaterallized)、仮想通貨担保型 (crypto-collaterallized)、無担保型 (non-collaterallized) という大きく3つに分類され、それぞれの仕組みや長所短所は異なりますが、どの種類にも共通して言えるのはその名の通り「価格の安定性」です。

本記事ではそれぞれの種類別の安定化の仕組みなどには触れず、ステーブルコインの重要性にフォーカスします。

仮想通貨の価格はなぜ安定しないのか

仮想通貨を含め金融商品の価格の変動性のことをボラティリティと言い、現在の仮想通貨のような状態を「ボラティリティが高い」状態であると言います。仮想通貨は一般にボラティリティが高いと認識されていますが、はたしてなぜ仮想通貨の価格のボラティリティは高く、価格が安定しないのでしょう。

多くの理由が存在しますが、中でも以下のような理由が大きいと考えられます。

  • 市場の非効率性

現在の仮想通貨市場はあまりにも非効率的です。市場が効率的であるとは金融商品の価格がその価値を決定づける情報を正しく反映している状態を指しますが、仮想通貨市場は様々な理由で価値を決定する情報が価格に正しく反映されていません。

これは、

  • 仮想通貨には株式や債券とは異なり内在価値が存在しないこと
  • そのため価値算出が困難であること
  • 情報に非対称性があること
  • 機関投資家資本が欠如していること

などが理由として挙げられます。

そのため、噂などの理性的でない根拠に基づいて売買することになり、ボラティリティは高くなります。

  • 板の薄さ

仮想通貨は株式などとは違い、取引所に自分の資産を保管しておくことはハッキングのリスクに晒すことになり危険です。そのため取引所だけでなくユーザーのウォレットにも多くの資産が保管されてます。そういった要員もあり、仮想通貨では指値注文が少ない状態になりがちです。このように板が薄い状態は大口注文が板を食い尽くしてしまい、価格の大きな変動を引き起こしてしまう可能性があります。

これらの理由が全てではありませんが、このような理由で仮想通貨の価格のボラティリティは高くなっています。今後時間とともにより大きな資本が流入し市場が成熟すれば価格は安定するはずですが、いつ価格が安定するのか、果たして本当に今後価格が安定するのかも不確かです。ここで、価格の安定したステーブルコインが重要になってくるというわけです。

ステーブルコインの重要性

ここまでなぜ仮想通貨の価格が安定していないのかを説明してきました。では、価格が安定していることがなぜ重要なのでしょう。最も価格が安定していると言える法定通貨ではいけないのでしょうか。

まず、法定通貨ではなくステーブルコインでないといけない理由はステーブルコインは「スマートコントラクトを実行できる」からです。多くのステーブルコインは特定のブロックチェーンのトークンとして発行されています。例えばMakerDAOというプロジェクトのDAIというステーブルコインはERC20というイーサリアムのトークン規格で発行されています。イーサリアムのトークンは他のコントラクトを実行する際にも使うことができます。自明ですが法定通貨ではスマートコントラクト実行することは不可能です。

スマートコントラクトを実行可能な価格が安定している通貨は以下のような利点を持ちます。

  • DEX(分散型取引所)を含むDeFi(分散型金融)の基軸通貨になる
  • ICOやSTOの際に価格の変動しない通貨で資金を調達できる
  • セキュリティトークンなどの配当をコントラクトで自動化できる

これまで多くの取引所での基軸通貨として、ビットコイン (BTC) やイーサリアム (ETH)、が使われてきました。しかし、BTCやETHはこれまで説明してきたように価格の安定性が低く、トレードの基軸通貨としては不向きです。またICOやSTOを行って資金を調達する際の通貨としても同様にBTCやETHが使われてきました。こちらはより深刻で、BTCやETHで調達したICOは大幅な価格の下落によって資産が減少し、思うようにプロジェクトの開発を進行できなかったり、やむを得ず人員を解雇するプロジェクトも多くありました。

さらに、融資プロトコルであるCompoundや以前Economies2.0でも紹介した分散型保険、セキュリティトークンの配当など分散型金融の領域も価格の安定したステーブルコインの利用が適しています。

スマートコントラクトを利用しない場面でも、例えば決済通貨として、価値保存の手段としても価格の安定性を活かすことができます。

まとめ:ステーブルコインによってもたらされる未来

オラクルやスケーラビリティなど様々な問題がありますが、仮想通貨の価格の安定性がもたらされれば、既存の法定通貨による経済圏を置き換え、仮想通貨で完結する経済圏を構築することも可能です。この経済圏の実現がどれだけ先になるのか、そもそも実現できるかも確実ではありませんが、価格の安定したスマートコントラクトを実行できる通貨はそれだけの可能性を秘めています。イーサリアムなどの価格がいつ安定するかわからない以上、ステーブルコインは今後のブロックチェーンによる経済圏の普及にとって重要な要素となるでしょう。


参考