なぜ多くのICOが失敗に終わるのか 失敗の要因と今ある解決策とは?

ブロックチェーン

なぜ多くのICOが失敗に終わるのか 失敗の要因と今ある解決策とは?

2019 年 5 月 - 5 min read

概要

  • ICOそのものの問題
  • トークン設計の問題
  • Token Velocityとは
  • Token Velocity問題を解決するには
  • まとめ

2017年は非常に大きなICOブームの年であり、ICOによって調達されや総額は8億USDにも登るそうです。ベンチャーキャピタルが約2.5億USDというのと比較すれば、この規模がどれだけ大きいかわかるでしょう。しかし、そのぶん詐欺も横行しました。また、ICOによって資金を調達したプロジェクトの中で成功している、または形になっているプロジェクトは数えられるほどしかありません。このように、ほとんどのICOプロジェクトが失敗に終わっているのは、ICOの構造そのものの問題と、トークン設計の問題に分けて考えられます。今回はこの二点に分けて解説していきます。

ICOそのものの問題

ICOの最大の利点はプロダクトが完成していなくても資金を調達できることです。端的に言えば、コンセプトのみで資金を募っている状態です。

このようなそもそも失敗するリスクが高いような資金調達法に投資する人がいるのはなぜでしょうか。

それは、参入する敷居が低く、早期に参入すれば大きな利益が見込めるからです。

また、Greater fool theoryも要因の一つといえます。

Greater fool theoryとは、ものの価格が本質的な価値ではなく、非合理的な信念によって上がることを表した経済学用語です。アートなどがわかりやすい例です。

また、プロジェクト制作側も、即時的に資金を集めたいがために、新たな価値の創造よりも、投資してもらえそうなホワイトペーパー作りに注力してしまっているのも、良いプロジェクトが生まれない原因となっています。

つまり

  • 投資家が手軽に稼げるため、アルファ版すらないプロダクトに投資している
  • プロジェクト政策側も資金をできるだけ調達するために、価値の創造よりICOそのものが目的となってしまっている
  • Greater Fool Theory

このような理由から、ICOは1997-2002に起きたインターネットバブルと同様の状態となってしまっています。

これらが、ほとんどのICOプロジェクトが失敗で終わってしまっている原因のうちの、ICOの構造そのものに起因するものといえるででしょう。

トークン設計の問題

William Mougayar氏によると、トークンのユーテリティに必要な三つの要素は

  • 役割
  • 特徴
  • 目的

であり、現在考えられている役割としては

  • 権利
  • 価値交換
  • サービスへの通行料
  • 機能追加
  • 通貨
  • 報酬(利益配分など)

があります。分かりやすく表にすると以下のようになります。

ユーティリティトークンなら少なくともこれのどれか一つの役割がないと機能しません。

役割が明確に説明できないならトークンを作る必要はないといえます。

ちゃんとしたUtility tokenを作るには

  • プロジェクトにトークンは本当に必要か
  • トークンを活用できているか
  • 最初のユーティリティ目的を達成できてるか
  • トークンを長期保有する価値はあるか
  • できるだけ多くの役割があるか
  • が重要になってきます。

ここで、ユーティリティトークンを評価する指標の一つである、トークンVelocityにフォーカスしてみましょう。

Token Velocityとは

トークンVelocityとは、総取引量 / ネットワーク価値の平均で算出されます。簡単にいうと、トークン保有者がトークンを手放す速度です。

例えば、チケット詐欺を防ぐためのブロックチェーンプラットフォームがあったとします。チケットが欲しい人は、購入プロセスの一つとしてトークンを買うかもしれませんが、それ以上トークンを保持しようとは思いません。価値の変動も考えると、法定通貨を保有した方がよっぽど良いのです。

トークンを入手しても消費者はすぐにチケットと交換し、イベント開催者はすぐに法定通貨に交換します。トークンをそのまま保持するインセンティブが何もないからです。

これがトークンVelocityが高い状態です。

このようなトークンを作るのは、不要なレイヤーを生み出し、UXを悪化させるだけです。

ブロックチェーンを用いたチケットプラットフォームはチケット詐欺や転売を防げるかもしれませんが、実用化に伴うこのような障害が、せっかくブロックチェーンがもたらすかもしれなかった価値を阻害してしまっているのです。

誰もトークンを売買しない状態が0であり、ある流動性を高める必要があります。

Velocityが高いと、ネットワーク価値=総取引量/Token Velocityであるため、どんなに取引量が増えてもネットワークの価値はそのままです。

そして、現状ほぼ全てのトークンがこのVelocityの問題に悩まされています。

Token Velocity問題を解決するには

現在解決策として以下の5つが考えられています。

  • 利益分配メカニズムの導入
  • プロトコルにステーク機能を組み込む
  • Balanced burn-and-mintメカニズム
  • ゲーミフィケーション
  • 価値の貯蔵手段となる

利益分配メカニズムの導入

Augurが良い例といえるでしょう。

ネットワーク上はREP保持者が何かをしたら報酬を払わなければならず、またネットワーク上で何かするためにもREPを支払わなければなりません。そしてREP保持者はイベント結果を予測市場に報告します。

アセットのマーケットプライスが下がったら利益が増え、利益を求める市場参加者はアセットを買って保持します。

こうしてトークンが値上がりしてVelocityを下げることができます。

プロトコルにステーク機能を組み込む

PoSもこの一つといえるでしょう。

カジノ管理者は全てのトークンの50%以上をロックアップしなければならない

Balanced burn-and-mintメカニズム

Factomがこの例です。

カジノプラットフォームであるFunFairなど、バーンコンセプトを採用しているプロトコルはたくさんありますが、こういったものは不要なボラティリティを生み出し、サービスを不安定にします。

これを解決するのがBurn-and-mintメカニズムです。

Factomではプロトコルの使用に0.001USD, FCTの価格に拘らず0.001USDと決まっています。

ユーザーはトークンを燃やしますが、それとは無関係に、毎月73,000の新しいトークンが自動的に生成され、参加者に分配されます。

もし73000トークンがバーンされなかった場合、通貨流通量が増え、トークンの価値は下がります。逆にそれ以上バーンしたらトークンの価格は上がります。

つまり、長い目で見て、トークンの活用量と価値が比例するような仕組みになっているのです。

ゲーミフィケーション

チケットの例に戻って見ましょう。多くのコンサートのチケットはすぐに売れるので、もし開催者が、トークンの保持日数によって観客に優先順位をつければ、Velocityを下げることができます。

また、YouKnowという投げ銭機能のあるビデオライブ配信アプリがあるのですが、このアプリではDiscoverタブがあり、ここではトークンを多く保持している投稿者ほど表示されやすくなります。

価値の貯蔵手段となる

これは技術的に最も達成が難しいものです。

ビットコインが現在このような状態ですが、本質的な決済システムとしての価値ではなく、値上がりするかもという投機目的で保有している人が多いのが現状なので、、確かにVelocityは低いのですが、バブルとしてはじける可能性があります。

これに挑戦したものとしてMakerやBasecoinなどのステーブルコインがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。数々のICOの失敗から、注目がSTOにシフトしつつありますが、まだまだユーティリティトークンの失敗の原因を探求し、様々な解決策を模索しているプロジェクトもたくさんあります。

最近下火になってきたユーティリティトークンですが、まだまだ可能性があると言えるのではないでしょうか。


参考