ブロックチェーン界の大企業、ConsenSysを理解する

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ブロックチェーン界の大企業、ConsenSysを理解する

2019 年 3 月 - 7 min read

ConsenSysとは?

ConsenSysはニューヨークからロンドン、ドバイやシンガポールなど世界中で1000人以上のメンバーを擁する急成長ブロックチェーン企業です。

一般的にConsenSysは、イーサリアムブロックチェーンに特化したプロジェクトのインキュベーターとしての認識はありますが、実態的にはあらゆる事業を展開しており、全体的なビジネスを理解するのが難しい状況です。

本記事では、ConsenSysのビジョン、そしてMesh・各産業・外交力(ソフトパワー)の大きく3つの特徴にまとめた事業展開について紹介していきたいと思います。

ConsenSysの多様な事業展開

ConsenSysはさまざまな事業に介入しており、一概にそのビジネスを理解するのは困難ですが、まずは主な事業内容を簡単に紹介していきます。

  • Academy:イーサリアム活動の教育事業
  • Capital:ベンチャーキャピタルやトークン販売のアドバイザリー
  • Catalyst:フルサービスのマーケティングやブランディングの仲介役
  • Design:製品デザインやデザイン考案、デザインリサーチ・デザイン戦略の提案
  • Diligence:スマートコントラクト監査、イーサリアムのせキュリティ管理
  • Labs:プロジェクトへの資本出資・指導、他プロジェクトへのアクセス権付与
  • Social Impact:政府機関等との提携による社会的影響のあるプロジェクト
  • Solutions:Enterprise Ethereumとブロックチェーン提供による革命

このように、ConsenSysは多くの事業を展開しています。

以下は、ConsenSysが展開する事業内容の主なプロジェクトを整理したものです。

この図のように、ConsenSysの事業内容は4つに分けられ、Mesh・各産業との繋がり・外交力(ソフトパワー)・資金投資となります。

ConsenSysの多様な事業展開の理由

ConsenSysがさまざまな事業に介入している理由は、各産業や政府機関のブロックチェーンに対する見方を変える手助けを目的としているからです。

必ずしも収益性を求めているのではなく、イーサリアムのエコシステムに必要不可欠なプロジェクトには積極的に開発や投資によって参画するなど、ブロックチェーンと分散性の特徴を広めていく活動に尽力しています。

前述した事業の中でも、主な活動であるMesh・各産業との繋がり・外交力にフォーカスして以下で解説します。

Mesh

ConsenSysが行うあらゆる事業の中でも、核となっているものがこのMeshと呼ばれるネットワークです。

組織の規模関係なくあらゆる現実世界の問題を解決するために、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたグローバル経済圏の基盤を作るMeshと呼ばれるネットワークを形成しています。

現在Meshには、MetaMaskやInfuraなどインフラに特化したプロジェクトだけでなく、AirswapやGnosisなどのDAppsも含む50以上のプロジェクトが加入しています。

Meshに加入するプロジェクトチームにとっての利益は、他のプロジェクトチームにアクセスできると同時に、他のプロジェクトチームの自立補助ができる点にもあります。

イーサリアムやConsenSysの共同開発者であるジョゼフ・ルービン氏が指摘したように、分散型エコシステムを形成する際に、たくさんのコミュニケーションと、他の相互作用しているプロジェクト同士での協力が必要となるため、これは大きな利点であると言えます。

もうひとつの利点としては、資金援助が得られるところです。

シリコンバレーにおける成功する企業の条件を分析したものであるリーン・スタートアップという企業マネジメント論において、「MVP」と呼ばれる実用可能な最小限の製品を市場に出し、いち早くニーズを掴みベンチャー企業を成長させる重要性が説かれていますが、そのMVPに携わるベンチャー企業たちのインキュベーターを担うことが、ConsenSysの当初の目的でした。

Meshに加入しているプロジェクトは、その他ConsenSysプロジェクトからも資本を得ており、たとえ業績がうまくいってない場合でも相応の補助を受けることが可能になります。

シリコンバレーで毎年誕生する多くのベンチャー企業の中から大企業へと成長する企業はほんの一握りであり、このような資金援助が得られることもまた大きい利点であると言えます。

各産業との繋がり

次に、ConsenSysがもつ事業内容カテゴリーの2つ目である、各産業との繋がりの説明に入ります。

ConsenSysには、その事業内容から、ジョイントベンチャーやパートナー企業がたくさんいます。政府機関との関係も広く深くなっており、どれだけ事業内容をまとめてリストアップしようとも、完璧とは程遠い状況です。

ConsenSysは、各産業のリーディング企業に対しブロックチェーンソリューションの提供に努めているだけでなく、委員会の役員メンバーなどに参画し直接的に介入しています。また、EEA(Enterprise Ethereum Alliance)と呼ばれるブロックチェーン関連の委員会では、初期から中枢メンバーとして活躍しています。

また、CEOのルービン氏自身やバンク・オブ・アメリカのMerrill Lynch氏など、主要金融機関の出身者がConsenSysのメンバーであることから、テクノロジーや金融サービスとの繋がりが自然発生的に起きています。

Meshプロジェクトにおいては、主要な金融サービスやIT企業と共にジョイントベンチャーを数多く設立しています。金融機関との協力で行われたKomgoの決済プロジェクトやマイクロソフト社とのジョイントベンチャーなどが挙げられます。

イーサリアムにとってのConsenSysの重要性は、ただインフラシステムを提供するだけの範囲を大きく超えています。今やConsenSysを分散性の社交的な”顔”であると位置づけ、分散性の特徴や有用性などに関し影響力を強める手段としています。

また、競合プロトコルはConsenSysのようなうまく機能した”営業の相方”を保持していないことから、企業におけるイーサリアム導入のチャンスを増やすことにも影響しており、各産業との繋がりをさらに深めるきっかけとなっています。

外交力(ソフトパワー)

さらに、3つ目の外交力の説明に入ります。

ConsenSysの影響力は、グローバルな非営利組織との深いつながりからもうかがえます。

外交力は、ここでは3つに分類されます。

  1. 政府機関・NGO
  2. ブロックチェーン業界
  3. 教育

1. 政府機関・NGO

ConsenSysは欧州委員会や南アフリカ準備銀行、米州開発銀行など多くの政府機関と活動しその関係を深めています。また、その社会的影響や補助金制度などにより、発展途上国のNGO団体と協同し、ミシガン大学など教育機関の資金調達プロジェクトのサポートなども行なっています。ConsenSysはもはや一つの国のように、世界中にコネクションがある強い影響力を持った企業であると示せます。

また政府機関は、新しい分野での技術者への出資を惜しまず、これがConsenSysの影響力をさらに増大させます。

2. ブロックチェーン業界

ConsenSysは他のブロックチェーン業界団体とも活発に協力しています。

EEAの共同設立、Ethereal Summitや最近ローンチされたTruffleConの運営などを行っており、スイス政府公認ブロックチェーン団体Crypto ValleyやGlobal Degital Financeのメンバーとしても活動しています。

さらに、CoinbaseやCoin Centerが設立したthe Regulatory Frameworkなどの率先した取り組みや、Token FoundryやBrooklyn Projectによって考案されたトークン売買のフレームワーク構築活動なども最前線で活動しています。

このようなブロックチェーン業界でのたくさんの取り組みは、イーサリアムとの深い関係の恩恵を受けているからであると同時に、ルービン氏の早期介入、そしてConsenSysのネットワーク拡大に向けた持続的な努力の結果とも言えます。

3. 教育

ConsenSysは、Courseraと提携し、ブロックチェーンと分散性についての授業展開を行い、ブロックチェーンの特徴などについて人々に広めていく教育事業をローンチしました。ブロックチェーンに特化した教育の未成熟からくる政府機関や各産業におけるブロックチェーンの理解不足については、分散性の要素に関する基準を定めることが重要となり、イーサリアムが可能にすることについて調整し教育していくことが強力な対策となり得ます。

もちろん、これはConsenSysが政府機関や各産業との限られた協力や提携のもと、”現在”到達可能なことであって、将来的にはさらに教育事業に関する外交力を発揮していくでしょう。

さらにConsenSysはメディア運営についても近年大きく展開しています。

最近リリースされたブロックチェーンメディアSingularDTVや、UjoMusic、ニュースプラットフォームDecryptMedia、そしてBreker magaizneなど、様々なメディア運営に取り組んでいます。これらは編集的な面では独立したプラットフォームですが、ConsenSysがメディアプラットフォームを確立するにあたって重要な要素となるでしょう。

この教育事業に関する重要性は、ConsenSysのポジションにあります。

ブロックチェーン教育の先導者になるということは、政府や規制機関などにブロックチェーンとは何かを教える立場、そしてもはやそういった人々にブロックチェーンに関しどのような見方をさせるのかまでもをコントロールできるような立場になりうるということです。

ConsenSysの今後

ConsenSysはイーサリアム関連の企業であるとの捉え方がまだまだ一般的ですが、インキュベーターや技術的補助など多様な役割を担うConsenSysのネットワークの重要性は否定しがたいものです。さらに政府機関や各産業への繋がりも増えてきている状況下では、将来は多方面にとって必要不可欠なネットワークとなることが考えられるので、今後もさらに注目していきたいと思います。


参考