Token Curated Registryが実現する分散型ライブラリー管理とは?

ブロックチェーン

Token Curated Registryが実現する分散型ライブラリー管理とは?

2019 年 5 月 - 3 min read

概要

  • TCRとは
  • 既存の仕組みと問題点
  • TCRの仕組み
  • TCRの種類
  • TCRのエコシステム
  • TCRのメリット
  • TCRの抱える課題
  • TCRの応用例
  • まとめ

今ブロックチェーン業界で注目すべきトピックの一つであるToken Curated Registry (TCR)。 本記事ではTCRとはそもそも何なのか、どのような設計でリスト管理を分散化させているのかを解説し、その可能性について考察します。

TCRとは

TCR (Token Curated Registry)とはトークンによるインセンティブ設計によって、分散的にデータレジストリ・ホワイトリスト・ブラックリストなどを作成しようとするアーキテクチャ構想の総称です。TCRを用いて管理することができると考えられているのは以下のようなものです。

  • Wikipedia
  • ブラック・ホワイトリスト
  • ランキングサイト
  • キュレーションメディア

既存の仕組みと問題点

キュレーティングリストやレジストリではリストする項目が選定され、評価されます。今までの多くのリストは特定の中央主権的な管理者が独自の基準に基づいてリストし、独自の基準に基づいて評価されていました。しかし、この評価が公平なのかどうかはわかりませんし、不正が行われている可能性もあります。とはいえ、リストを分散的に管理しようとすると、管理の欠如から特定のユーザーが評価が操作したり、基準が揺らいでしまう可能性があります。こういった問題を解決するためにTCRでは、トークンによるインセンティブが用いられています。

TCRの仕組み

エコシステムのプレーヤーの役割

  • Candidates:リストに載りたい人物・組織
  • Token Stake Holders:リストのトークンを持っている人、リスト=トークンの価値を高めたい人
  • Consumers:リストにアクセスしたい人、このConsumersに支持されるにつれトークンの価値は高まる

リスト項目の選定・評価の流れ1. リストに載りたい人がCandidatesとして名乗りを上げトークンをデポジットする2. トークンホルダーはCandidatesを支持、またはCandidatesと同じ量のトークンをデポジットして反対 (チャレンジ) する3.

  • チャレンジがされない場合:リストに追加
  • チャレンジがされた場合:その他のトークンホルダーがチャレンジを支持するかどうか投票する

4.

  • 過半数に支持されチャレンジが成功した場合:チャレンジをした人・支持した人にCandidatesがデポジットしたトークンが分配される
  • 過半数に支持されずチャレンジが失敗した場合:Candidatesとチャレンジを支持しなかった人にチャレンジをした人がデポジットしたトークンが分配される

 以上の提案とトークンと分配はスマートコントラクトによって実行されます。

TCRの種類

TCRには様々な種類のリストデザインがありリストの目的によって使い分けられます。以下のような例があります。

  • unordered TCR:序列のないリスト
  • Ordered TCR:順番のあるリスト (序列ではない)
  • Graded TCR:序列のあるリスト
  • Layered TCR:複数レイヤーが存在するリスト

TCRのエコシステム

トークンの価値が上がる理由とそれぞれのインセンティブ

  1. Candidatesはリストに載りたいので立候補するためにトークンを買う
  2. Token Stake Holdersはリストの評判をあげ、トークンの価値を上げるために積極的にリストの選定に参加する
  3. リストが評判になるとConsumersはリストにアクセスするためにトークンを買う
  4. リストにアクセスする人が増えるとリストに載りたい人が増える
  5. 1に戻る

 このように、それぞれが利己的に行動することでトークンがエコシステムを循環し、トークンの価値は上昇していきます。

TCRのメリット

  1. リスト項目の選定・評価が分散的に行えるようになる
    • 特定の管理者やユーザーによる不公平または不正な選定・評価を防ぐことができる
  2. エコシステム全体への利益
    • エコシステム内のすべてのプレーヤーにメリットがある

TCRの抱える課題

様々な活用が期待されるTCRですが、構造上以下のような課題を抱えています。

  1. 後出し:投票期間の後半に勝ちそうなものに投票すれば有利になってしまうため、チートのようなことができてしまう
  2. 多数決:リストに載せるかどうかの正しさより、ほかの投票者がどちらを選ぶかを考えて投票する方が合理的になってしまう
  3. 投票者不足:投票するユーザーの数が少ないことによりリストの価値が下がってしまう
  4. 相互投票や賄賂:投票者に賄賂を渡して投票が操作されてしまう、長期的にはリストの価値低下につながるという側面もある
  5. 善悪の行動インセンティブの違い:正しいことをするインセンティブと悪いことをするインセンティブが同等ではない場合がある

TCRの応用例

クリプト業界に関するデータライブラリーやキュレーションツールを提供するプロジェクトです。現在はTCRではなく、一般的なニュースキュレーションサイトやデータライブラリーとして公開されていますが、今後TCRが導入され、分散化を行う予定のようです。 

スマートコントラクトのセキュリティのレジストリとして機能するプラットフォームです。このプラットフォーム上のリストに掲載されればコントラクトのセキュリティが保証されることになります。

まとめ

いかかだったでしょうか。構造上の課題があるものの様々な活用が期待されており、非常に面白い試みだと思います。Economies2.0編集部として今後の活用にも注目したいと思っています。