アクセス権・ライセンスとしてのNon-Fungible Tokenの応用

Non-Fungible Token

アクセス権・ライセンスとしてのNon-Fungible Tokenの応用

2019 年 3 月 - 4 min read

概要

  • アクセス権としてのNFT
  • ユーザーにとっての利点
  • サービスプロバイダにとっての利点
  • 仕組み
  • 実際のプロジェクト
  • まとめ

前回は現実資産のトークン化の可能性について考察しましたが、その中でnon-fungible token (NFT) の応用領域は、性質上「身分証明」と「所有権」二つに分類できると説明しました。

今回はその二つともの特性を生かした応用例であるアクセス権 (ライセンス) のトークン化について解説します。

アクセス権としてのNFT

NFTはその唯一無二であるという性質を応用し、ソフトウェアのアクセス権やライセンスキーとして活用することができます。

身近な例で言えば、Adobe製品やMicrosoft Officeなどのソフトウェアはシリアルナンバーなどのライセンスキーという形態で販売されていますが、こういったライセンスキーをNFTにトークン化し、サービスプロバイダはユーザーのウォレット内のトークンを確認し、ソフトウェアへのアクセスを許可するといったように使われることができます。

ユーザーにとっての利点

ユーザーにとってのトークン化されたライセンスキーによる利点は大きく以下の2つがあります。

  • ライセンスの譲渡・売買が可能
  • プライバシーの保持

ライセンスの譲渡・売買

既存の仕組みでは基本的にライセンスを二次流通させることはできませんでしたが、このライセンスキーはあくまでトークンであるため、他のアドレスに送信し譲渡または売買することができます。購入後、使用しなければ無駄になっていたものが、中古品のように売却できることによってユーザーは経済的な損失を減らすことができます。また、ライセンスの譲渡・売買が可能ということは1週間や数日といった短期間の購入も可能になります。

プライバシーの保持

これまで基本的にライセンスキーを購入する場合、個人情報やクレジットカード情報をサービスプロバイダに提供する必要がありました。一方、NFTをライセンスキーとして使用する場合、ウォレットのアドレスと公開鍵以外の情報を提供する必要がありません。

サービスプロバイダにとっての利点

一見するとライセンスキーをNFT化することはサービスプロバイダにとっては損失のように思えます。確かにライセンスが二次流通することによって売り上げは低下するかもしれません。しかしトークンの設計によっては送信できない期間を指定したり、二次売買の利益の一部をサービスプロバイダが受け取ることもできます。

また、最も大きなサービスプロバイダ側の利益は海賊行為の防止です。2017年におけるソフトウェアの海賊行為による損失はアジアだけでも2兆円に登ります (参照) 。ライセンスキーであるトークンを所有者以外の誰かが利用できるようにするということは、秘密鍵の共有に他ならないので、このようにライセンスキーの共有のリスクを高めることで海賊行為を抑止することができます。

仕組み

NFTによるライセンスキーの仕組みのほとんどは、ユーザーのウォレットのアドレスを参照して特定のトークンがあるかどうかを検証し、コンテンツへのアクセスを許可します。

ここで重要なのはウォレットに保持されているNFTは送信されなくても認証機能を使うことができるということです。送信されずトランザクションを発生させないので、処理速度の低いブロックチェーン上でも問題なく使用することができます。

実際のプロジェクト

NFTを使ったアクセス権・ソフトウェアライセンスに取り組むプロジェクトを紹介していきます。

Unlock Protocol (https://unlock-protocol.com/)

Unlock ProtocolはCoinbaseのベンチャーキャピタルであるCoinbase Venturesも出資するNFTを使ったアクセス権のプロジェクトです。このプロジェクトはブログなどのコンテンツの直接的なマネタイズ方法を提案するプロジェクトで、自分のコンテンツへのアクセス権をNFTとして販売することができます。

自分のコンテンツにUnlock Protocolのダッシュボード上で生成したタグを埋め込むことで、コンテンツのクリエイターは簡単に導入することができ、アクセス権の有効期限や、価格、数量などを自由に設定することができます。

こちらがデモ映像です。

Dotlicense (https://github.com/cryppadotta/dotta-license)

Dotlicenseは汎用的にソフトウェアライセンスとしてNFTを作るためのフレームワークです。

元々はDottabot https://www.dottabot.com/ という仮想通貨取引の自動取引BOTがNFTの形式でソフトウェアライセンスを販売しており、そこで使用したコントラクトを汎用化し、フレームワークとして公開されているようです。

Zastrin (https://www.zastrin.com/)

Zastrinはブロックチェーンのプログラミング教材へのアクセス権をNFTとして販売しています。当然、学習し終えた教材は中古品として売買することができ、実際にOpenSeaというNFTのマーケットプレイスでもZastrinのコースが販売されています。

こちらがOpenSeaでの出品リストです。

https://opensea.io/assets/zastrincourses

まとめ

本記事ではアクセス権・ソフトウェアライセンスとしてのNFTを見てきました。こういった多くのトランザクションの発生を伴わないNFTの活用方法は、現状のイーサリアムやビットコインのスケーラビリティを考慮すると非常に有用であると言えます。特に今回紹介したような事例はユーティリティトークンのように設計や仕組みが難しいこともなく、実装も複雑ではありません。今後、他の応用領域の成長とともにもっと活用されていくことになるでしょう。


参考