ブロックチェーンのレイヤー構造と問題点

ブロックチェーン

ブロックチェーンのレイヤー構造と問題点

2019 年 5 月 - 6 min read

概要

  • ブロックチェーンのレイヤー構造
  • プロトコルとアプリケーション

EOSやライトニングネットワーク、チェーンのハードフォークなど、近日様々なブロックチェーン領域のニュースを聞くようになりました。しかし、一言にブロックチェーンといっても、これらは全て異なる領域の話です。

今回は、ブロックチェーンとブロックチェーンから生まれるサービスをレイヤーごとに解説します。本記事を読んで、これからも増え続けるであろうブロックチェーン関連の話題を分類できるように準備しましょう。

ブロックチェーンのレイヤー構造

ビットコインブロックチェーンは、他のあらゆるトークンやdAppsのモデルまたはテンプレートとなりうるレイヤー構造を持っています。

このモデルは、大きく四つのレイヤーに分けて考えられます。

その最下層に位置するのがブロックチェーン、二層目がプロトコル、三層目がトークン、最上層がアプリケーションやサービスです。

以下に順を追って説明していきます。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、このスタック構造の基礎となる、インフラ的な役割を果たしています。全ての層はここがベースとなって成り立っています。

プロトコル

ブロックチェーンの上にあるのが、プロトコルレイヤーです。一般的にプロトコルとは、ネットワーク上の各ノードが情報を送信する際に適用される特別なルール群です。これらのルールは、各コミュニケーション主体の交流を細かく規定します。

インターネットでいうところの、OSに相当します。

プロトコルの例の一つとして、通信に使われているTCP(伝達管理プロトコル)があります。これは、インターネットの情報パケットレベルでメッセージのやり取りをする際のルール群です。TCPは、データパケットが送信者の送った通りに受信者の元まで届くことを保証します。

また、インターネットアドレスレベルでメッセージを送受信するためのルール群であるIP(Internet Protocol)というプロトコルもあります。これは、インターネット上のデータパケットのフォーマットとアドレス方式を厳密に指定します。

ブロックチェーンについての文脈では、“プロトコル”とはP2Pネットワークを通した分散型の合意形成を維持するために、ブロックチェーンにより強化された“暗号経済ルール”のことです。

暗号経済ルールとは、非中央集権型デジタル経済を運営するためのルールです。このルールは、以下の機能を満たすものです。

  1. 公開鍵暗号を認証に用いる
  2. ルールが守られるよう保証できるような経済的インセンティブを持つ

ビットコインブロックチェーンはオープンソースとなっており、参加者全員よるコードテストが徹底される、改善サイクルが早い、共同開発であり中央管理者がいないことによる信用といった強みがあります。

また、ビットコインブロックチェーンの場合、マイナーに金銭的なインセンティブを付与することでネットワークの安全性を保っています。

それでは、この金銭的インセンティブとは何なのでしょうか?

トークン

マイナーへの金銭的インセンティブとは、ビットコインブロックチェーン上に構築されたネイティヴコイン、つまりビットコインです。

マイナーが電力を提供する代わりに、一定量のコインによって報酬が支払われます。

一般的に、“暗号通貨トークン”または単に“トークン”とは、ビットコインのような、ブロックチェーンの上に構築され、個人の電子資産の保有と取引を表したトークンのことです。

ブロックチェーン上にトークンを作る方法はいくつかあります。

最もわかりやすい例は、直接ビットコインブロックチェーン上に構築されたビットコイン(BTC)でしょう。

また、ビットコインブロックチェーンをフォークし、その上でトークンを作ることもできます。ZCashやLitecoin、Moneroなどが例としてあげられます。

また、全く新しいブロックチェーンを構築し、その上にトークンを作ることも可能です。それを行って誕生したのがEthereumです。

EthereumのオリジナルコインはETHですが、ビットコインブロックチェーンと同様に、チェーンのフォークにより新たなトークンを作ることができます。Gnosis(GNO), Augur(REP)などがそれにあたります。

このように、あらゆるトークンはビットコインブロックチェーンやEthereumブロックチェーンなどの土台となるチェーン上に構築されます。

そして、トークンの価値は保証されています。なぜなら、ブロックチェーンが不変で分散型で改ざん不可能な資産管理のバックボーンを提供するからです。

アプリケーション

ここまで、ビットコインとそれを支えるブロックチェーン技術、ブロックチェーンのルールを定めるプロトコル、そしてその上層で構築されるトークンといったレイヤーについて説明してきました。

それらのレイヤーの最上層に位置するのが、アプリケーションです。

ブロックチェーンは分散型アプリケーションを可能とします。

分散型アプリケーション、いわゆる“dApps”は、ブロックチェーンの表層に構築されるアプリケーションです。どう動くのでしょうか?

ビットコインブロックチェーンを例に考えましょう。

ビットコインはビットコインブロックチェーン上に発生するトランザクションに対しスクリプトシステムを使用します。ビットコインのスクリプト言語によって私たちは全てのトランザクションに記録されるスクリプトを書くことができます。

つまり、このスクリプト言語を用いて、第三者による保証なしに、どのようにお金や情報を移動させるかを入力できるのです。ユーザーはコードを信じるだけで良いのです。

ビットコインはこのようなスクリプト言語を持っているので、私たちはこれを用いてブロックチェーン上に特定のアプリケーションを構築できます。言い換えると、ビットコイン取引をベースとしたアプリを作ることができるのです。

例えば、ブロックチェーンベースのクラウドファンディングアプリを作るとしましょう。あなたは資金がどのようにしてあるチームから他のチームに転送されるかというルールを設け、コードにします。すると、そのアプリのユーザーはブロックチェーンによって運営されるクラウドファンディングを行うことができます。

これがdAppsの背景にあるメインの考え方です。

特定のアプリケーションを定義するための非中央集権のルール群がコードによって構築できるのです。このルール群は、 AmazonやFacebookのような巨大な法人に所有された中央サーバーではなく、ブロックチェーン上でパブリックに保持されます。

これにより、匿名で運営できるようになり、検閲に強くなります。

まとめて、これらのテクノロジーは私たちにお金の定義について考えなおさせます。デジタルで、簡単に送受信でき、安全で、分散型のものとして。

しかし、通貨というのはブロックチェーンの応用の一つに過ぎません。

プロトコルとアプリケーション

余談ですが、ブロックチェーン領域で将来性があるといわれているのは、プロトコルとアプリケーションであるといわれています。

プロトコル

暗号通貨開発者の究極の夢は、このブロックチェーン技術を利用して新しい先進的なコミュニケーションプロトコルを一から構築することです。暗号通貨のために開発されたプロトコルは、最初のダイヤルアップモデムが出た頃からインターネットを侵してきた中央集権の問題を解決するポテンシャルがあるのです。

具体的にどんなプロトコルでしょうか?

例えば、決済、本人認証、ドメイン名システム、クラウドコンピューティング、評価システムなどです。もちろん他にもたくさんあります。これらのシステムの多くはとても中央集権的になっています。(Stripe, Paypal, Google, Amazonなど) そして、ウェブ上にはこういったことのデフォルトや標準のようなものはありません。

したがって、長期的な理想は、ブロックチェーン技術が、非中央集権かつオープンで、安全なプロトコルを用いた暗号通貨以外のユースケースを編み出すことです。

アプリケーション

私たちの多くは、ディベロッパーたちがすぐにでもスクリプト言語を用いてdAppsを作り出すと考えているでしょう。

しかし、ビットコインが2009年にリリースされてより9年、ビットコインは未だ投機目的の価値のストック以上のものになり得ていません。もちろん、ウォレットや取引所は量産されてきました。(Coinbase, Kraken, Poloniex, GDAX, 等)

当然、Silk roadの存在も忘れてはいけません。(デジタル匿名ドラッグマーケット、2年半で10億円売り上げ、2013年に法規制により閉鎖)ある意味では、ブロックチェーン上にあり、完全にオープンソースで、中央権威なしに運営されているため、Bitcoin自体が初めてのdAppと言えるかもしれません。しかし、キラーアプリはどこにあるのでしょうか?

残念なことに、ブロックチェーンベースのアプリを日常的に使っている人はほとんどいません。

その原因は以下の三つであると考えられます。

  1. 開発言語がディベロッパーフレンドリーでない
  2. ユーザーが少なく、ネットワーク効果を構築するのが難しい
  3. 分散型にするだけでは不十分であり、既存のアプリからシフトしてくるメリットが少ない

もちろん1の問題に取り組んでるチェーンはあります。EthereumやEOSなどです。

2に関しては、Facebookが良い例で、ユーザーが増えるごとにネットワーク効果は強化されていき、サービスも向上していきます。ユーザーが多いからサービスが向上するのか、サービスが多いからユーザーが多いのか、というのは鶏と卵問題ですが、サービスの向上には一定数以上のユーザーが必要なことは間違いありません。

しかし、既存のサービスを分散型のアプリで置き換えたところで、ユーザーがこちらに乗り換えるほどのいいことは今のところありません。

dApps領域では、これまでにない、完全に新しいサービスや商品を考え出す必要があるのではないでしょうか。