暗号資産の本質的価値の評価方法とは?

ブロックチェーン

暗号資産の本質的価値の評価方法とは?

2019 年 5 月 - 4 min read

概要

  • クリプトアセットの評価
  • 相対価値
  • 内在価値
  • まとめ

本記事ではChris Burniske氏が提唱する「価格」という指標以外の暗号資産 (クリプトアセット) 価値算出方法を紹介します。 

Chris Bruniskeプロフィール:ディスラプティブなイノベーションに対して投資やコンサルティングを行うARK Investで仮想通貨投資事業を率いた後、現在NYのクリプトアセットに投資を行うベンチャーキャピタルPlaceholderの共同経営者。主な著書にCryptoassets。

クリプトアセットの評価

まずはじめにChris Burniske氏はクリプトアセットを価格以外の指標で評価する際に前提として重要なことを3点挙げています。 

  1. クリプトアセットは仮想通貨とは異なり、必ずしも全てのクリプトアセットが仮想通貨のように貨幣の三代要素である「価値の交換」「価値の尺度」「価値の保存」機能を持っているわけではない。
  2. 通貨以外のクリプトアセットはクリプトコモディティ (商品) やクリプトトークンと呼ばれ、なんらかの実用手段がある。
  3. クリプトアセットは会社ではなくデジタル経済なのでソースコードに規約・定款があり、有権者が存在し、それぞれの金融政策が存在する。

 この前提に基づき、クリプトアセットの評価は

  1. 相対価値 (relative valuation)
  2. 内在価値 (intrinsic valuation)

の2種類に分かれます。

相対価値

特定のクリプトアセットの相対価値を測るのに使われる指標はNVTレーシオ(Network Value to Transaction Ratio)と言います。NVTレーシオはNVT = ネットワーク価値  / トランザクション価値 という式によって計算されます。 ネットワーク価値は出回っているトークンの総額 (法定通貨額)、つまり市場にフロートしているトークンの総数 x トークンの時価によって計算されます。時価総額の計算と同じですが、Chris氏はクリプトアセットは会社ではないのでこの式によって得られる数字は時価総額ではなくネットワーク価値だと強調しています。 トランザクション価値は総トランザクション額で、トランザクション価値 (法定通貨額) = トランザクション額 (BTC) x トークンの時価 (法定通貨額)によって計算されます。 ネットワーク価値をトランザクション価値で除算することで得られるNVTレーシオによって特定のクリプトアセットの1トランザクションあたりの価値がわかります。 トランザクションあたりの価値は相対的な指標なので他のクリプトアセットと比較することができます。ここで注意しなければならないのは仮想通貨は仮想通貨としか、クリプトコモディティはクリプトコモディティとしか比べられないということです。 Chris氏のスピーチではUTXOベースの仮想通貨が比較されています。

この時点でのNVTレーシオはそれぞれ図のようになっています。この数値の解釈の仕方は様々で、例えばDashやビットコインキャッシュの数値が他と比べて高いのは成長の見込みがあるとも考えられますし、マーケットが非合理的な状態にあり、時間とともに本来の価値に戻る可能性が高いとも考えられます。 それぞれの数値はhttps://coinmetrics.ioで入手することができます。

内在価値

Chris氏は貨幣数量説を表す数式であるフィッシャーの交換方程式に基づいたクリプトアセットの内在価値算出方法を提案しています。貨幣数量説とは「貨幣供給量が増加すればその貨幣の価値は減少し物価は上昇する」という仮説です。貨幣数量説に則った場合、例えば貨幣供給量が2倍に増えれば、その貨幣の価値は1/2になり今まで1000円だったものが2000円になります。 フィッシャーの交換方程式とは、MV = PTと表されます。ここでは各変数は

  • M = Money supply 貨幣供給量
  • V = Velocity 流通速度
  • P = Price 物価水準
  • T = Transaction 取引量

を表します。 Chris氏によるフィッシャーの交換方程式のクリプトアセットへの応用の場合、MV = PQとなり、各変数は

  • M = ネットワーク価値
  • V = トークンの流通速度 (指定されて期間に行われる支払いの回数、期間が一年・月額課金制の場合 V = 12となる)
  • P = サービス価格 (ガスなどの消費トークン)
  • Q = サービスの利用回数

これをMを求める式にします。

M = PQ / V

この式が意味するのは流通速度がVの時、特定のサービス価格Pとサービス利用回数Qをもつ経済を維持することのできるネットワーク価値Mはいくらかということです。 ここで例として投資家の大石哲之氏による例を紹介します。例えばクラウドストレージサービスのDropboxを利用時にトークンを消費する分散アプリケーションで置き換えたとします。ここでDropboxの合計取引額PQを11億ドルとするとM = 11億ドル / Vサーリス利用への支払いが半年に1度だとすると V = 24よってM = 11億ドル / 24 = 4200万ドルこのネットワークのトークン発行量が1億枚だとすると4200万ドル / 100万 = 0.42ドル したがって1トークンあたりの内在価値は0.42ドルとなります。この内在価値と市場価格を比較した際に、市場価格の方が大きい場合、価格が下がり内在価値に近づく動きをする可能性が高いと言えます。

まとめ

Chris Burniske氏が提案するクリプトアセットの価値算出方法を説明してきましたが、これらの方法は多くの投資家などから支持されているとはいえ、まだ研究段階にあり、問題点もあります。しかし、価格変動の激しいクリプトアセットを評価するために知っておくと良い内容でしょう。


参考