なぜブロックチェーンが台帳の歴史を書き換えうるのか

ブロックチェーン

なぜブロックチェーンが台帳の歴史を書き換えうるのか

2019 年 5 月 - 4 min read

概要

  • イントロ
  • 台帳の本質
  • 台帳の進化の歴史
  • ブロックチェーンが経済に与える影響
  • 結論

イントロ

ブロックチェーンの重要性の説明は大抵、通貨の歴史から始まりますが、通貨は単にブロックチェーンの最初のユースケースというだけで、本質ではありません。

ブロックチェーンの本質はデジタルで非中央集権型で分散型な「台帳」です。

台帳とはそもそもなんなのか、ブロックチェーンがどのように経済構造を変えうるのか。ここではブロックチェーンの本質である「台帳」から、ブロックチェーンとその影響について解き明かしていきます。

台帳の本質

台帳の本質を理解するためにまず私たちの身の回りにある台帳を見てみましょう。

まず代表的な台帳に会計帳簿や賃金台帳があります。会計帳簿は、企業などの組織が取引を記録し、賃金台帳は労働者の賃金額などを記録します。住民票も住民基本台帳にまとめられ、これをもとに住所の証明や納税、選挙権、国民健康保険などの情報が管理されています。戸籍制度も台帳システムで、出生、氏名、婚姻など様々な情報を明確にしています。特許や知的財産なども当局の台帳によって管理されており、企業におけるサプライヤーとカスタマーの管理も台帳により行われています。

このような台帳をシンプルに表現すると、「一定のルールによって体系化されたデータ」であり、あらゆる場面に存在し、情報を記録するものです。なんらかの事実に関してコンセンサスが必要な場合に台帳が使われ、経済の土台となっています。

こういった意味で、企業も政府も概念として台帳であると言えます。

台帳の進化の歴史

台帳は物品貨幣や金属貨幣が誕生する以前に、筆記によるコミュニケーションとともに生まれ、交易活動や価値のやりとりを記録していたと言われています。

メソポタミア文明で官僚制度が発展することにより徴税の仕組みが生まれ、発展した社会を統治するために台帳技術が存在していたのです。労働者などの細かい割り当てを楔形文字で記録した粘土のタブレットなどがその例で、債権を記録する台帳として経済を支えていました。

この債権を持ち運べるようにしたものが貨幣であり、借用書です。しかし借用書は改ざんされる可能性もあり、何かに信用を担保してもらう必要がありました。その信用を担保していたのが、君主であり、政府であり、銀行といった企業です。こういった中央組織が信用を担保することにより取引や組織の規模は劇的に増加しました。

ここで問題になるのは、信用を担保してもらう存在である中央組織に依存することは、果たして安全なのかということです。中央組織の信頼度によっては、その台帳や貨幣が信用できないことになります。

この問題こそがブロックチェーンが解決しようとしている問題です。ブロックチェーンは、中央当局に依存していないトラストレスな分散型台帳なのです。

ブロックチェーンが経済に与える影響

分散化とトラストレスを実現するブロックチェーンが台帳の歴史を変えうる重要な技術であることに疑う余地はありませんが、スケーラビリティなどの技術面が追いついていておらず、なかなか実用化されていないのが現状です。

ただ、日々、技術面の問題が解決されており、ブロックチェーンが「台帳」という普遍的な制度を置き換えることができる以上、社会の基本原理をディスラプトすることは間違いありません。

政府への影響

ブロックチェーン経済は、課税や規制、サービスなど様々な方法で既存の政府システムに影響を及ぼすことになります。

政治における多くの問題はブロックチェーンの「透明性が高く」「改ざん不可能」という特徴によって解決されます。

例えば、ブロックチェーンは分散されており改ざん不可能なため、選挙や税金、重要文書の管理に利用すれば、高い透明性の実現とともに政治家による不正を防ぐことができます。また、知的財産権や不動産などの所有権をブロックチェーン上で管理すれば、当局や悪意のある第三者からの改ざんを防ぐことができます。犯罪歴や出入国記録を記録すれば、国家の安全保障にも利用できます。

また、ブロックチェーンの用途の一つとして、監査やコンプライアンスといった規制に技術を応用する「regtech」と呼ばれるものも存在します。ブロックチェーンが政府の規制を置き換えてしまえば、政府が規制的な役割を担う必要はなくなるかもしれません。

ビジネスへの影響

ビジネスへの影響はより大きいものになると考えられます。

ブロックチェーンは「分散されている」という事実と「改ざん不可能である」という事実によって、信用を担保しています。この、いわゆる「トラストレス」な台帳システムにより、今まで信用に費やしていたコストを排除することができるようになります。つまり仲介によって信用を肩代わりしていたビジネスモデルはブロックチェーンによって置き換えられ、消費者と生産者が直接ビジネスを行うことができるようになるでしょう。

例えば、サプライチェーンにおいて商品のトラッキングを記録したり、信用スコアを記録し改ざんを防いだり、医療データを個人のIDと結びつけて記録したり、CtoCの仲介を排除したりなど、ビジネスでのユースケースは、まだ発見されておらずモデルも存在しないものも含め、無限にあります。新しいユースケースを発見するにはブロックチェーンの本質が台帳であることを知り今まで台帳がどんな役割を担ってきたのかを理解することが重要です。

結論

ブロックチェーンとそれに伴う技術的変化は既存の経済状況を大幅にディスラプトすることになるでしょう。かつて産業革命が新しい時代のきっかけとなったようにブロックチェーンも自律・分散による新しい経済のきっかけとなることは間違いありません。

新しい経済がどのように発展して行くのかを現在予測することは難しいですが、ブロックチェーンの本質を知り、試行錯誤を重ねることが重要となるでしょう。


参考

https://medium.com/cryptoeconomics-australia/the-blockchain-economy-a-beginners-guide-to-institutional-cryptoeconomics-64bf2f2beec4