ブロックチェーンによる金融システムの分散化

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ブロックチェーンによる金融システムの分散化

2019 年 3 月 - 5 min read

ブロックチェーンの実現し得る最大のものの一つは、分散型金融システムであると言われています。金融システムは、価値交換や富の貯蓄、クレジットの引き受けなどを担っており、経済の核となるものです。今回は既存の中央集権的な金融システムの問題点を見直し、ブロックチェーンによってどのようなアップデートがされ得るのか、今一度確認していきましょう。

既存の金融機関の抱える問題

デビットカードやクレジットカード、電子バンクによって決済が容易になり、銀行口座では貯金をするだけではなく利息が得られ、ローンを組むことによって個人、法人に拘らず資本へアクセスしやすくなり、経済は成長を早めました。

アメリカでは金融、保険市場はGDPの7.5%を占めています。

これほどに社会の構造の重要な部分を担っているにも拘らず、金融サービス産業には多くの問題が蔓延っています。その最大の原因は、金融システムが中央機関によって管理されていることです。

一つの機関にほぼ全ての裁量権があり、利用できるシステムによって使い勝手や安全性、利便性にバラつきがあるにも関わらず、どのサービスにアクセスできるかは地理的な要因に大きく左右されます。

0xのWill Warren氏は、現在の金融システムを地理の宝くじと揶揄しました。先進国か発展途上国に生まれるかで、利用できるサービスが大きく変わってしまうのです。

中央集権的な金融システムのメジャーな問題点は以下の4点です。

  • アクセスの不平等
  • 検閲
  • カウンターパーティリスク
  • 透明性の欠如

アクセスの不平等

World Bankによると、世界では20億人が銀行口座を持っていない、ないしは金融機関にアクセスできていないのが現状だそうです。

アフリカや中東、アジアの一部では一般市民の低収入、金融リテラシーが低い、そもそも市場が小さいといったことが原因で、銀行側がサービスを提供する利点がなく、銀行が開かれないそうです。

そのため、こういった地域の人々は金融システムにアクセスできず、経済・社会成長が停滞し、先進国との間の格差がさらに広がっていく結果となっています。

検閲

また、中央集権的な金融機関は検閲を受けやすい傾向にあります。

決済システムが良い例です。現在の決済システムは、個人を金融システムから締め出すことが容易にできます。

例えば、2011年にVisa、Master、PaypalがWikiLeaksが寄付金を受け取るのをブロックした事件があります。結果的にWikiLeaksはビットコインで寄付を受け、のちにそのビットコインによって大きなリターンを得たため、WikiLeaksが社会的に抹殺されることはありませんでしたが、名だたる決済会社がその気になれば強行な手段を取って特定の個人や組織に制裁を下すことができるということが浮き彫りになった事件でした。

もう一つ、金融機関の検閲が猛威を振るっているのはアダルトエンターテイメント産業です。このような現状を打破することを目的としている分散型アダルト動画プラットフォームSpankChainのホワイトペーパーには、JPモルガンが正当な理由なしに、一方的にアダルトエンターテイナーとその家族の口座を封鎖したとの記述があります。VisaやMasterはアダルトビジネスに決済サービスを提供することを拒否、Paypalは警告なしにユーザーアカウントから資金を差し押さえたそうです。

カウンターパーティリスク

また、中央集権的な機関に頼ることは、全てのトランザクションがカウンターパーティリスクに晒されるということです。全ての金融機関が契約内容を全て保証してくれるとは限りません。

例えば、クレジットが必ず期限までに支払われるとは限りません。銀行への預金が他のことに使われていたら帰ってこない可能性もあります。

特に発展途上国ではこのリスクが非常に高くなっています。2008年のリーマンショックで、このリスクが浮き彫りになりました。多くの銀行は釈放されましたが、投資家たちの被害は甚大でした。

不透明性

そして、現在の金融システムの一番の問題は不透明性です。もっとも良い例が、無料当座預金口座開設です。口座開設は必ずしも無料ではなく、お金を預かる手数料を取るものでした。しかし、のちに銀行は口座開設を無料とし、仕組みを理解していない利用者から、引き出し手数料やその他の手数料でお金を払わせる仕組みを作りました。

2008年のリーマンショック以来、一般市民は初めて金融システムがどのように動かされているのかを目にすることとなり、金融システムの改善の必要性を身をもって感じることとなりました。

ビットコインの発明はこうした背景に基づいています。金融システムは言わずもがな、今のままではいけないと誰もが考えるようになったのです。

ブロックチェーンが変えうるもの

ビットコインは初めてユーザーにお金の自治権を与えました。中央機関に依存しなくても、自分で自分の財産を管理できるのです。

ビットコインなら、フルノードを運営すれば、自分の資産の総権利を握れ、仲介機関を通さずに取引を行うことができます。

そして、トランザクションが適切かどうかは、コンセンサスアルゴリズムに則ってマイナーが決めます。

イーサリアムも似たようなコンピュテーションを用いており、世界中の誰もがサーバーダウンや検閲の恐れなしにアプリケーションを走らせることを可能としました。

開発者はイーサリアムを用いてスマートコントラクトを書き、資産の生成や価値の転送など、金融の基本的機能をコードに埋め込みます。ここでは第三者ではなくコードがルールとなります。そして、ネットワーク自体はビットコインと同様にマイナーが支えます。

ベンチャー金融やお金の貸し借り、保険など既存の金融機関が担っていた機能は全てスマートコントラクトが代替できるようになるのです。

金融サービスを分散化する

現在金融界には無駄に手数料をとる仲介機関が非常に多く存在しますが、大抵の仕事は簡単にコードに書き込めるものです。これまでデジタル化することへの障害は信頼を構築することでした。

しかし、ブロックチェーンは分散型のコンセンサスアルゴリズムと改ざん不可能性により、デジタル環境に信頼を構築することに成功しました。

現在、この技術を用いて、多くの企業や開発者が今日の時代遅れな金融構造を変えようと研究を進めています。

あらゆる人々が資産の保存、転送が簡単にできるようになり、スマートコントラクトにより、より複雑な金融ツールへのアクセスや資産の生成、保護、リスク管理にも簡単にリーチできるようになるのです。

しかし、既存のブロックチェーンのパーミッションレス、検閲耐性、トラストレスネスは速度と効率性とトレードオフです。

現在の金融システムで満足している人に価値はないでしょう。

既存システムを代替するのではなく、選択肢を増やす手段です。今まで金融システムにアクセスできなかった層に対してこそ、もっとも価値を発揮する技術なのです。

ブロックチェーンが既存の金融システムに勝る5要素

ブロックチェーン基盤の金融システムが既存の中央集権金融システムより優れている要素は以下の5点です。

  • パーミッションレス
  • 検閲耐性
  • トラストレス
  • 透明性
  • プログラマブル

この生まれたばかりの技術を有効活用するには、既存の金融機能をより分散的なバックボーンに基づいて考えて行く必要があります。

将来人々は不動産のような物理的な資産から、デジタルアートといった実体のない資産まで、あらゆる資産をトークン化してグローバルでオープンな市場で自由にやり取りするようになるでしょう。

現時点では、

  • P2P決済
  • 資産発行
  • デリバティブやインデクシングといったリスク管理
  • 融資

といった基礎的な金融機能へのブロックチェーン応用が順調に進められています。

次回の記事ではこれらの活用例を包括的に解説していきます。

これで全てを網羅しているわけではありませんが、この領域がいかなる速度で進化をしているのか掴む指標としてください。


参考

https://tokeneconomy.co/mapping-the-decentralized-financial-system-7c5af65e0335